飯田くにこ 20代は食事会三昧のOLが東京・NY・ドバイでビジネスを展開するまで

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自己実現タイムズvol.5

いま輝いているあの人も、はじめは普通の人だった。起業と失敗を経て、自分らしく生きる道を見つけた人にインタビュー。自分と向き合う一人時間に何を考えて実行していたのでしょうか。自分で幸せをつかみとった現代のシンデレラストーリーをお届けします。今回は、世界3都市を拠点に、加圧ヨガや酵素スパサロンを経営する飯田くにこさんに話を聞きました。

飯田くにこ
kunistyle代表/1978年、福島県生まれ。大学卒業後、秘書などを経て、全米ヨガアライアンスのヨガインストラクター資格を取得。加圧トレーニングも学び、ヨガと組み合わせた加圧ヨガで起業。東京でスタジオの運営を始め、5店舗を展開する。2015年に渡米し加圧ヨガを広め、2018年にはニューヨークに会社を設立。2023年2月、東京・銀座に酵素スパ「kunistyle Enzyme SPA」を開業した。
撮影:有泉伸一郎(SPUTNIK)

加圧トレーニングとヨガを組み合わせて、女性に向けた加圧ヨガで起業した飯田くにこさん。いまでこそ東京・NY・ドバイの3ヶ所を拠点にビジネスを展開しているが、20代の頃は普通のOL。しかも夜は週3、4回ほど食事会三昧の日々だったそう。29歳の頃に一念発起してオーストラリアへ留学し、ヨガの資格を取得。結婚後に加圧ヨガスタジオを運営し、起業した。

36歳の頃にNYに渡って日本発祥の加圧ヨガを広め、世界進出。コロナ禍で2021年からは東京をベースにしながらドバイの不動産、NYのオンラインヨガを展開し、効率的なビジネスにシフト。しかし、2023年2月には東京・銀座に酵素スパ「kunistyle Enzyme SPA」を開業した。美と健康をテーマに自分らしくさまざまなビジネスをつくりあげてこられた理由を飯田さんに振り返ってもらった。

目次

渡豪と人脈をきっかけに、ヨガスタジオ経営で起業

20代の頃は秘書をするなど、OLとして働いていた飯田さん。起業のきっかけは、29歳の頃に趣味だったヨガの資格をオーストラリアに取りに行ったこと。

「ヨガインストラクターの資格取得の費用は120万円くらいかかりました。当時の私にとっては大金。活かさないともったいないですよね。ちょうど結婚して専業主婦だったので、マンションの使っていない部屋を利用して友達に無料で教えることにしたんです。でも、いつも手土産を持ってきてくれるのが申し訳なくて、2000円いただいてレッスンすることにしました。たくさんの友達が利用してくれましたね」

はじめは「もったいない」という気持ちだった。しかし、たくさんの友人が利用してくれたのは偶然ではない。飯田さんは20代の頃から豊富な人脈を築いていた。

「20代の頃は、週3,4回、食事会していました(笑)。それも全部が主催者です。元々、人と人をつなげたいという思いが強くて、それは恋愛だけじゃない。何をしたいか、その人の話を聞いて、サジェストしていくのが好きだったんです。経営者の両親の影響もあるかもしれません。“自分がだまされても人のために動きなさい”と言われて育ちました。OL時代は副社長の秘書をしていましたが、経営者に学ばせてもらっているという視点を常に持っていました」

飯田さんのヨガは評判を呼び、不動産経営者が始める加圧サロンでインストラクターにならないかと声がかかる。加圧の経験はなかったが働きながら資格を取らせてもらい、加圧インストラクターに。そこで売上げアップの提案をしたところ、スタジオ経営も任されることになった。

「経営は未経験のチャレンジだったので、すでに人気のスタジオから学ぼうと、表参道のスタジオに履歴書を送りました。やみくもにやるより効率がいいですよね。加圧インストラクターで業務委託しながら、ノウハウを学んでとにかく必死にやっていたら、スタジオの月の売上は250万円を超えていました」

その後、加圧とヨガを組合わせた独自の「加圧ヨガ」を女性向けにスタートし、その活動をアメブロで発信。女性ヨガインストラクターの発信自体が珍しかったこともあり、テレビなどのメディアから声がかかるように。5店舗の加圧ヨガスタジオを運営し、人も雇って忙しい日々を送っていた。

「20代の頃はOLをやっていることに違和感があったんです。30歳で起業してみたら、それが性に合っていたんでしょうね。一生懸命やっていたら、どんどん声がかかっていきました。好きなことをやっているから、いいものが引き寄せられて、応援してくれる人が増えてビジネスが伸びていった感覚です。美容に関しては昔から好きなので勉強も苦じゃない。自然にアンテナが張れている状態で、そこでキャッチしたことをすぐに行動に移したのもよかったと思います」

NY進出は、嫌がらせからの出発

起業から丸6年経った頃、飯田さんに転機が訪れる。ニューヨーク(以下、NY)で医師として癌研究をしている兄のもとへ遊びにいったときに、NYで加圧ヨガを広めてみてはどうかという話になった。実は加圧トレーニングは日本発祥。飯田さんはNYでのビジネスに勝機を感じたことから、準備段階として無料で教える前提で告知した。ところが、SNSでは「飯田くにこがNYで不法労働している」と拡散されてしまう。NYはダメージからの船出だった。

「成功していると、それをねたんだ嫌がらせもあります。NYの加圧ヨガは軽い気持ちで告知しましたが、SNSで書かれてしまった以上、やらなきゃいけないと火がつきました。不思議なもので、こういう壁を打破すると、それ以上のはねかえりがある。だから、最悪の状況も楽しもうと思っていました。実際、日本での成功に執着しないで、次の展開に集中したのがよかったですね」

飯田さんが苦労したと話すように、アメリカで働くためのアーティストビザ(O-1ビザ)を取得するのはかなりハードルが高い。まずは加圧ヨガインストラクターとして契約してくれるスポンサーを探し、弁護士と一緒に300枚以上にわたる書類を用意する必要がある。想像以上にお金もかかるうえに、最後は大使館でインタビューもある。そのすべてをクリアしなければならない。

飯田さんは2カ月、NYに滞在してスーリヤサイドヨガと契約して、アーティストビザを取得。2018年にはニューヨークに自身の会社を設立。マンハッタンの「ザ・ベンジャミン」という四つ星ホテルでスパのコンサルティングも行うように。しかし、2020年にコロナ禍となり、NYは大変な状況になる。

「NYの状況は日本よりひどく、街はロックダウンして死者も出ていました。そのため、日本に一時帰国しましたが、NYの家賃はそのままかかっているので5月には戻りました。NYではオンラインレッスンを始めたり、それ以前からCBDオイルの物販のビジネスもやっていたので、日本と行き来しながら過ごしました。2021年にはドバイに不動産を購入し、NYの反省を活かしてドバイにいない間はホテルが運営してくれるものを選びました。コロナ禍で、寝ている間でもお金を生めるようなしくみを考えたり、時代にあわせて効率的なビジネスを選びました」

酵素浴は新しい美容と健康の可能性を感じるもの


2021年以降、飯田さんは東京を主な拠点として、NYやドバイでもオンラインヨガや不動産など固定費や人件費をかけないビジネスをしてきた。しかし、そんなおだやかな毎日に風穴が開く日がやってきた。酵素スパをやってほしいという相談をされたのだ。

「通っていた酵素スパのスタッフから『クニさんとっしょに働きたい』と相談がありました。私自身は海外のビジネスもありますし、店舗を持つ苦労を考えたらやりたくはなかったんです。でも、よくよく考えたら、効率的にビジネスをやっていることに物足りなさを感じていたのかもしれません。最後は自分で開業を決意しました」

実は酵素スパをオープンしたのは、酵素スパ自体に新しい美と健康のライフスタイルを提案できるものとして可能性を見出したことも大きかったという。

「2017年から日本ヨガインストラクター協会でファスティングの講師をやっていて、酵素栄養学を勉強していました。酵素スパは発汗目的で通っている人が多いですが、酵素栄養学と結びつけると、酵素の善玉菌が鼻の粘膜をとおって肺胞や腸内フローラまで届いて腸内環境を良くする効果があることがわかったのです。つまり、酵素浴の美容効果は菌活として体内に作用するもの。そうした知識とともに、美を実感できるものとして酵素浴を広めていきたいと思いました」

加圧トレーニングとヨガを組合わせて新しいビジネスをスタートさせたときと同じように、酵素スパを酵素栄養学と結びつけることでオリジナルのビジネスチャンスにつなげたのだ。普段から人の相談にのるのが好きで、美と健康のために勉強を続けていたことが活かされた格好だ。

酵素スパは銀座にサロンをオープンすることを決め、物件探しや内装工事、保健所の許可などを経て2023年2月13日にオープン。銀座初の酵素スパ「kunistyle Enzyme SPA」は、米ぬかと秘伝の発酵原液によるふかふかの「おが」による酵素浴に加え、加圧ヨガや活性酸素除去もできるサロンとして評判に。連日、予約で埋まる順調なスタートを切った。サロンが開業して以来、毎日があたらしいよろこびに満ちていると飯田さん。

「毎朝、銀座のサロンまで歩いて出勤する時間、”楽しい!“と心のなかで叫んでいます(笑)。新しいゼロイチをつくるのが好きなんでしょうね。もっとこうしたらおもしろいんじゃないかと、日々妄想しています。ヨガがファッショナブルなものとして世界で浸透したように、酵素浴もかっこよくしていくのが目標です。将来的には日本から生まれた加圧ヨガや酵素浴を世界に向けて発信して、それを日本に還元できたらいいですね」

20代は普通のOLをしてきた飯田さんだが、加圧ヨガや酵素スパなどオリジナルのメソッドを確立し、世界をまたにかけて邁進している。飯田さんの経験を踏まえて、自分らしく活躍するためのアドバイスを聞いた。

「何をするにしても継続が大事です。自分が好きなことならどんなことでも没頭できる。好きなことを見つけるのがいいと思います。どんなことでも構いません。私がこの仕事をやりはじめたきっかけは美容が好きだったから。高校生の頃はダイエットをやりすぎて精神的にまいったり、手足が冷えたりする失敗も経験してきました。でも、それがきっかけになって、大学で栄養学を学んだことが今につながっています。失敗も学びになる。まずは好きなことを見つけて集中してみてください」

飯田くにこさんのミータイムマネジメント

自己実現を果たすために、おすすめの時間術を聞きました。
「時間に関してはめちゃくちゃうるさいです。約束の時間に遅れるということは、その人の時間を奪うこと。お金よりも時間を大切にしている、という経営者は多いですし、実際に私もそうです。毎日のタイムマネジメントは、朝に今日はこれをやると決めて動いています。時間に関しては期日を「決める」こともポイントです。kunistyle Enzyme SPAのオープン日も、ちょっときびしかったですが、2月13日と決めて動きました。内装工事の遅れなどもあって、12時オープンなのにWi-Fiがつながったのが11時。ギリギリに間に合いました。逆にいうと、決めることですべてが動くようにまわっていくのだと思います」

編集後記

飯田さんは、美と健康をテーマにしたビジネスを展開されていますが、それらすべてがオリジナル。加圧ヨガも酵素浴も自分流にアレンジされていて、何か1つに固執していないのもすごいところ。こうしたビジネスにできたのは、勉強をつづけたことで自身の知識と知識が結びついて、「こうすればもっといいビジネスになる」と考えられたところ。柔軟性は勉強のたまものです。さらには、いつも「人のために」と提案し続けたことが、結果としてご自身のビジネスの種になっていました。自宅でのヨガもNYの加圧ヨガも、はじめは無料。「続けていれば、利益はあとからついてくる」というのも飯田さんが発見したこと。シンプルに好きなこと、人の役に立つことがすべての原動力になっていることを教えてもらいました。

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飯田くにこ「ビジネスは、デカイ壁を倒していくのがおもしろい」 | ME TIMES(ミータイムズ) へ返信する コメントをキャンセル

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