三宅さやか モデルからイメコンに。女性の生き方までプロデュースするようになった理由

私の時間術 vol.2

人生の転機には一人時間が必要です。じっくりと自分と向き合う時間が、新しい未来を育んでいくから。自分の世界を切り拓いた人は、その時間で何を考え、どう行動に移していったのでしょうか。
今回は、ビューティーコンサルタントの三宅さやかさんが起業した頃の私の時間術を聞きました。

三宅さやか

東京都生まれ。大学卒業後、モデルとして活躍。2014年にパーソナルカラーと骨格診断を使ったメイク術やファッションコーディネートでイメージコンサルタントとして起業し、2000人以上の女性をプロデュース。現在は、三宅さやかビューティーメイツという組織をつくり、大人の女性の美しさと自立の両方を叶えるために活動している。
https://ameblo.jp/sayaka-miyake/

撮影:OGU 撮影協力:カフェダイニング・スタジオ &BASSO渋谷

目次

結婚に逃げるのはリスク! モデルを引退後、すぐに起業

モデルからイメージコンサルタントに。その経歴はいかにも華麗だが、転身の裏側には、女性としての葛藤と自身を模索する時期があったという。

「20代の頃は華やかな業界で好きなことをして生きてきました。30歳を過ぎてこれからの人生を考えたときに、私は起業を選びました。当時の彼と、結婚することも選択肢として考えました。でも、未来の予想図を描いたときにイメージがカラーじゃなかった。自分が結婚して専業主婦という道で、いきいきしている想像がつかなかったんです」

当時の三宅さんは、今でいう港区女子。お金も実力もある男性が結婚していながら、きれいな女性を連れているのを目の当たりにしてきた。

「そういう現実を見てきたので、結婚して夫のお金で一生、自由にできるなんて甘い考えはなかったです。『みんなが結婚するから』という理由だけで結婚を決めるのはリスクが高いと思いました。やはり魅力的な男性と、パートナーとして歩みたかったら、自分も魅力的だと思ってもらえる努力は必要です。私は元々、仕事が好きだったので、働かないという考えはなかったですね。モデル業を引退した後に、やったことのないOLができるとも思えなかったので、起業する良いチャンスでした」

しかし、すんなりとイメージコンサルタントを目指したわけではない。意外にも、はじめは何をしていいのかわからなかったそう。ヒントは華やかな業界から離れて、同世代の女性と話をしているときにやってきた。

「メイクの話になったときに『アイラインを3ミリ下げたらかわいくなるよ』と、アドバイスしたんです。すると『こんなにきれいになれるんだ』と喜んでもらえた。そこで初めて、同世代の女の子はきれいになりたくてもメイクの技術がないんだと気づきました。私自身は、人に見られる仕事をしてきたので、テクニックを磨くこともやってきた。自分にとっては当たり前のことでしたが、それが自分にしかない天性のギフトだったんです」

女性が求めているものを発信。ファンを増やして集客に成功

女性の美しさをプロデュースすることで起業を決意した三宅さんは、「日本一のイメージコンサルタントになる」と目標を定めた。イメージコンサルタントとは、パーソナルカラー診断や骨格診断をもとにファッションやメイクをアドバイスし、一人ひとりにとっての理想のゴールに導くプロ。当時は新しい職業で、市場としてもブルーオーシャン。そのまますぐにでも始める自信があったというが、スクールに入学して体系立った理論を学ぶと同時に起業。卒業を待たず起業したのは、なぜ?

「起業はタイミングがすべてだと思います。自分が得意な分野で、需要があって稼げるかをみきわめたら、スピードに乗ることが大切です。ブルーオーシャンのうちでないと稼げません。スクールに行っている半年や1年で状況は変わってくる。『資格を取ってから』とか『自分なりに深掘りしてから』と言う人がいますが、それじゃ遅い。どこで何を掴むかもセンスです。そのためには、すべてにおいてアンテナを立てていないといけません。多くの人は、すでに人がやっていることをやろうとしますが、選ばれるためにはよほど特別な理由でもない限り勝ち抜くのは難しい。それが見えていないまま“自分がやりたい”という理由だけでは、ビジネスの世界ではうまくいかないですよね。趣味ならいいですけど」

スタートダッシュした起業時に三宅さんが集客の方法として考えたのが、ブログ。2014年当時、女性はブログを読んで情報収集するのが全盛の時代だった。

「ブログは、皆さんに楽しんでいただけるようテクニックだけではなく、ライフスタイルや前向きになれる思考方法なども公開しました。集客の当てはありませんでしたが、なんとかなるという自信はありました。当時はSNSなどでプライベートを発信している人も少なかったので、ブログのアクセスも上がり、自然とファンも増えていきました。そんな私のブログをお客様は読み込んできてくださっているので、レッスンのスタートと同時にいい関係が築けました。ブログで集客できたのは、ブログを書くうえでポリシーにしていたことがあったからだと思います。それは無料で出し惜しみせず、テクニックも公開すること。相手のためになることを、ここまで出すかというくらい一生懸命に書きました」

起業して3年間が三宅さんが人生のなかで一番集中していた頃。当時の一人時間は何をしていたのだろうか? 実は一人時間で考えたことが、ビジネスの転機となり飛躍のきっかけとなる。

「お客様が何を求めているか、そればかり考えていました。自分がやりたいことよりも、人が何を求めているか。お客様はすでにブログをご覧になっているので、たいていは“ここが気になってきました”という動機やきっかけがあります。そこにヒントを見出していました。探ってみると、パーソナルカラーやメイクのテクニックではなく、意外にも私自身に興味があったり、何かを変えてほしい、という気持ちでいることがわかったんです。“変わりたい”――多くの女性はそんな心の叫びを抱えていたんです。実際に表情が暗い女性も多かったのですね。なんとか、この女性たちの未来を明るくしたいと誕生したのが、『三宅さやかビューティーメイツ』です。女性たちは価値観が似ていたり、同じ志を持つ仲間たちと学んだり、イベントを通じて刺激や楽しみを増やすことで、人生をもっと輝かせることができるのです」

三宅さんが取り扱っているのは、アンズコーポレーションのメディカルスキンケア。三宅さんは販売代理店としてわずか2年で全国1位に。

三宅さやかビューティーメイツとは、同じスキンケア製品やメイクアップ用品を用いながら、より美しくなれるようブラッシュアップができるコミュニティ。普段は30〜40人のグループLINEで情報共有し、年に何度か行われるオンライン・オフラインのレッスンやイベントで顔を合わせる。現在は5期生を数え、合計180人の全国規模の組織になっている。当初はメイクやファッションのグループレッスンが多かったが、2020年には「三宅塾」が開催され、女性が美しく生きるだけでなく、自立するためのマインドも教えている。

成功の秘訣はコツコツと。信頼をつくるのが仕事

美容の世界で起業して8年、自ら切り開いた道を進む三宅さんだが、起業した当初は失敗もあったという。

「9000円のレッスンを5000円にするキャンペーンを打ったことがありました。値下げをしてみたのですね。そうすると、遅刻をしたり、理不尽な要望が多くなったり、手間や時間が取られるという結果に。お客様の質を知る、学びの機会となりました。値段を下げると集客数は増やせますが、今度は私の目が届かなくなる。時間やお金を使って、本当にきれいになりたいと考える大切なお客様が来なくなってしまう。悪循環ですね。値段を下げて良いことは1つもないということがわかりました。それを機に、本気でいらしてくださるお客様をきれいにすることに集中しようと、やり方にも軌道修正をかけていきました」

いまでこそ、オフタイムに旅行に出かけたりする三宅さんだが、起業してすぐの時期はかなり集中していたと振り返る。当時は、さぞや忙しかったことと想像するが、その頃の時間術とは?

「24時間お客様のことを考えていたイメージです。そのためにテレビは捨てました。いらないなと思って(笑)。テレビから得られる情報は1つもありません。どれくらい集中していたかというと、事業を始めて3年間は、Yahoo!ニュースを一度もクリックしていないくらい。起業してしばらくは、ほかの情報を入れたくなかった。ビジネス以外にフォーカスを当てないようにしていました。ただ、ストレスは多いので友人と会って飲みに行く時間はつくっていましたね。若い頃から経営者の友人も多かったので、そこで得られることもある。環境が自分をつくるので、そういう友人との時間は大切にしていました」

これまでを振り返ってみて、起業して成功するときの鉄則があるとしたら「継続」との答えが返ってきた。

「自分でやると決めて、コツコツと継続することだと思います。だから、事業は継続できるくらい、好きなことがいいですよね。好きじゃなかったら続かないし、続けないと人もついてこない。結局、信頼をつくるのが仕事なんです。ブログを読んでお客様になってくれるなんて、1ヶ月や2ヶ月じゃない。たいていは1〜2年ブログを読み込んで、やっと“三宅さやかに会いに行こう”と思ってもらえる。でも、そうやって継続して自分で蒔いた種は後で必ず花を咲かせてくれるんです。

私にとってはビューティーメイツが花です。女性は外見を磨くことで自信がつきます。でも、ときにメンタルが落ちることもあれば、テンションが上がらないこともある。私はそれをどうにか引き上げたいと、同じメッセージを何度も届けました。そのうち何年かすると自立するようになって、自分からあれをやりたい、これをやりたいと相談してくれるようになってくれる。そうなってはじめて花が咲いたといえるんです。自立して美しく生きることは一生の財産になる。お客様である女性の生き方を変えるきっかけを与えられることが、私のよろこびです」

イメージコンサルタントで起業した三宅さんだが、女性が求めることを追求した結果、女性の外見だけでなく生き方もプロデュースするようになった。「人生のよろこびは、どこまでいっても他者への貢献」と語る三宅さん。みずから輝いてステージに立つモデル時代よりも、たくさんの女性に輝きを届けるいまの方が強く輝いているに違いない。

三宅さやかさんの朝ルーティーン

7:00起床
7:05シャワーを浴びて、スキンケア
7:30犬の散歩
8:00サプリメントを飲む(起床〜サプリメントまでで水を1.5〜2ℓ飲む)
8:05自宅でエクササイズ(腹筋、背筋など)
8:45マンションのジムでバイクの有酸素運動(水を1.5ℓ飲む)
9:15身支度を整える
9:30仕事スタート

睡眠・運動・食事の3つで体調管理を行う三宅さん。睡眠はたっぷり8時間とって、仕事の前に運動をするのが毎日の習慣。朝食はとらず、食事の間隔を16時間空けるオートファジーを実践して体調管理。夜は会食も多いのでサプリメントで栄養を補給し、無理なくバランスをとっている。

インタビュー後記

実は、私も三宅さやかさんがつくったビューティーメイツの一員です。三宅さんが主宰する三宅塾を受講したときに、なぜイメージコンサルティングから現在のようなビジネスに行きついたかに興味があり、インタビューを申し込みました。今回、じっくり話を聞いてみて、“女性が何を求めているか”を一人で考えつづけたことがカギとなっていました。三宅さんは“自分主体で好きなことをして生きている”という話もよくされます。その選択をとり続け、結果を出すことが自信になり、推進力になっているのでしょう。起業して成功するのはカンタンではありませんが、1つひとつの行動の結果が次に向かわせてくれる。自分の思う道を進むのが、もっとも近道なのかもしれません。

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